大阪府市行政一元化 深く知りたい人のために
大阪のIR(統合型リゾート)の問題点を指摘する論文を公開しました
大阪府・市が誘致し、夢洲に計画されているIR(統合型リゾート)が現在重大な局面に差しかかっています。IRの区域認定申請にあたっての議会議決がなされれば開業にむけてストップをかけることは事実上不可能になるため、この二・三月議会での判断が「ファイナルアンサー」となるのです。
『市政研究』第214号(2022年冬号56~70頁)では大阪市会議員の川嶋広稔さんに、大阪のIRについて事業者を有利にする募集要項の変更、収支計画への疑問、土地整備のための巨額の公費負担など、多くの問題点を指摘する論考をご寄稿いただきました。
新たな「負の遺産」となりかねない大阪のIRの問題を知り、議会での議論を理解するうえでも重要な論考ですので、当会ホームページで広く市民のみなさんに公開することにしました。大阪のIRについて十分な情報がいきわたり、議論が尽くされることを期待します。
なお、万博・IRが私たちにもたらすリスクについては、『市政研究』第208号(2020年夏号)にも3件の関連論稿がございます。こちらも本ページにて公開しておりますのでご活用ください。
市政研究 第214号(2022年冬号)
大阪府市の広域行政一元化に対して問題意識をもち、その理解を深めたい皆さまへ
「広域行政一元化条例案」へのパブリックコメントに対する大阪府市副首都推進局の回答が2月24日に発表されました。しかし、その内容は市民の問いかけに十分に向き合わない非常に不誠実なものと受け止めるほかなく、残念なものでした。
その後、新型コロナウイルス感染症第4波の流行で、特に大阪の医療現場が逼迫し、連日多くの方が感染しお亡くなりになられた方も少なくありませんでした。そのさなかに大阪府市で急ピッチに推進されたのが広域行政一元化のための条例・規約の制定でした。
府市行政一元化の方針を規定する広域行政一元化条例は大阪府議会で3月24日、大阪市会で3月26日に可決成立し、さらに市から府へ委託される詳細な事務の権限や新たに府市で共同設置する組織についての規約が大阪市会で5月26日、大阪府議会で6月9日に可決成立しました。
この過程で、大阪府市の広域行政一元化の具体像がようやく明らかにされました。都市の将来像を描く権限や、都市計画の重要な設計・実務を担う権限が、軒並み大阪府へ事務委託されることになっています。
この過程を改めて検証しこの規約の問題点を洗い出す論文を、元阪南大学教授の木村收さんからご寄稿いただきました。下記の小西さんの論文とともに重要な論文になりますので、木村さんの論文(『市政研究』第212号68~85頁)もここに公開いたします。
市政研究 第212号(2021年夏号)
広域行政一元化の動きに対して問題意識をもち、その理解を深めたい皆さまへ
2020年11月1日に行われた大阪市廃止・特別区設置を問う住民投票では反対が多数を占め、政令指定都市・大阪市の存続が決まりました。
しかし、その直後から大阪市の権限・財源の一部を大阪府へ条例で移管する動きがあり、「広域一元化条例案」として議会へ上程される状況になっています。これは明らかに住民投票で示された住民の意思を無視するものであり、大都市制度の趣旨にも反するものです。
この動きに対して、元大阪府副知事の小西禎一さんに重大な問題点を指摘する論文「大阪府・市における広域行政一元化を批判する」を本会発行の『市政研究』にご寄稿いただきました。
この小西さんの重要な論文(『市政研究』第210号82~91頁に掲載)をここに公開いたします。「広域行政一元化条例案」はパブリックコメントが実施されており(2021年2月20日締切)、ぜひともご参考にしていただけますようお願いいたします。
市政研究 第210号(2021年冬号)
大阪都構想の理解をさらに深めたい皆さまへ
いわゆる大阪都構想、つまり政令指定都市の大阪市を廃止して4つの特別区に分割する地方自治制度案を定めた協定書に賛成するか反対するかを問う住民投票が11月1日に迫っています。すでにこの地方自治制度案のメリット・デメリットについて市の広報、各種ウェブサイトのほか、書籍、パンフレット・チラシなどを通じてたくさんの情報が行き交っており、有権者のみなさまの判断のよりどころとなっていることでしょう。
しかし、賛成・反対の主義主張だけを聞いていても議論がかみ合わず、頭を悩ますこともあるかと思うのです。わたしたちの町大阪の将来を真剣に考えるために、「特別区設置協定書」の内容やそれが議決されるまでのいきさつをご自身でしっかり確認して判断したいと願っておられる方も大勢いらっしゃると思います。
そこで、このたび弊会ではそのような有権者のみなさまのご要望に応えるべく、協定書や法定協議会をつぶさに観察して検証してこられた有識者の方々から弊会会誌『市政研究』にお寄せいただきました論稿を無料公開することといたしました。地方自治制度に関する難しい説明も少なからず含まれていて、いずれも骨のある論稿ですが、読破したときに必ずやこの協定書の真実の姿が明瞭に浮かび上がってくることと信じております。
市政研究 第207号(2020年春号)
- 高寄 昇三 「なぜ大阪市廃止・分割に反対するか」
- 柏原 誠 「特別区設置構想を住民自治の視点から考える」
- 武 直樹 「大阪市廃止・分割で住民自治は拡充するのか?――介護保険事業・社会福祉協議会を事例に」
- 幸田 泉 「法定協議会が注力した大阪都構想の『反対要因』潰し」
- 木村 收 「『特別区設置協定書案』の検証――事務分担・税源配分・財政調整」